お母さんからのお話私は横浜生まれで、主人が仙台出身です。DAIKIと同じ誕生日で。転勤族なので、埼玉、福島市、郡山市と転々とし、DAIKIが小2のときに仙台へ越してきました。
幼いころは車が大好きで、埼玉にいたときは駐車場がお気に入りの遊び場でした。車の名前をはじからはじまで言うのが日課で。好きなミニカー並べて遊んだり、とてもおとなしい子でした。けんかもしないし。 障害があることは幼稚園でわかりました。3歳児検診でもわかりませんでした。言葉が遅いのは男の子だからだろうと。学研の車の辞典を全部暗記してしまったり、好きなことには没頭していました。でも会話はできない、成立しないというのはありました。 幼稚園は郡山で、そのころはウルトラマンや戦隊ものにはまっていました。ウルトラマンのコスチュームがお気に入りで、乾くとすぐ着ていましたね。 家の中は愛車のソアラで移動。切り返しは抜群で、ぶつけないんです。 |
小2で仙台へ移って、雀踊りをしたり、足は早かったですね。
中高は宮城教育大附属へ。中学部ではスキーがあって、教頭先生がマンツーマンで教えてくださいました。楽天と試合をしたり、岩沼のエアポートマラソン大会に参加したり、スイミングをしたり。 書はいつからはじめたというのはよく覚えていないんです。小学校でやって、好きになったのかもしれません。中3のころには、もう墨と筆が好きでした。色のかげんとか、手で墨を確かめたり。 夏休みや冬休みには、先生たちがスポーツや絵画、書道といったワークショップをやってくれました。そのころはヘルパーもなかったころなので、夏休みが長くて長くて。親たちはみんなもてあましていました。そんなときに先生たちがいろいろ企画してくれたんですね。用意したものを自由に使っていろいろやらせてくれて。そんな中で書が好きになっていったんだと思います。 |
私も主人も、書とはまったく無縁で。うまいのかどうかもわからない。こどもの書いたものなので、親にとってはすべてがいとおしくて、まったく別の次元で見ています。
逆に、私が書をやっていたら「指導」してしまったかもしれません。素人だから自由にしていたんだと思います。学校でやってきたなという日は、足の裏やパンツまで墨だらけで。「今日がんばってきたのね」と。 気づいたら賞をもらうようになって、メールや郵送で案内が来るようになり、それに応募するとまた賞をもらって、という繰り返しです。 お手本もないし、練習もしない。最初のころは気が向けば1日中書いていましたね。足の踏み場もないくらい。すごいスピードで。経験したものがインプットされていて、それを出しているんだと思います。 お葬式で親戚一同が集まったときに、表彰されたことを伝えると「おじいさんの血ね」と聞かされ、はじめて祖父が書や絵をたしなんでいたことを知りました。 制作時間は本当に短くて。終わるとあとは好きなことをする。書きたい瞬間に自由に書いて終わり。じっとしていることができないので、書なんて一番向いていない分野だと思っていました。 私にとってはこどもがふれたものはすべていとおしい。なのでひとの評価はいいんです。DAIKIが表現してくれることがうれしかった。書きたいときに書けばいいと思うし、これは内に秘めていても表現できずにいたものを表現するひとつの方法、声なき声だと思っています。育てているうちにそう感じるようになりました。だからうまいへたではなくて、素直にストレートに訴えるものがある。それがアートなのかなと思っています。 私も自分が好きだなと思うもの、心に響いたものを選んで応募してきました。ひとりでも好きだと言ってもらえる人がいればいい作品だと思っています。 |
アート・インクルージョンへは、区役所の方に紹介されて来ました。最初、「ダンボールでテーブルや椅子をつくっているところ」と聞いので、うちは向いていないなと思ったのですが、見学だけでもしてはどうかと言われ、何もわからずに見学しました。そこで私もDAIKIも自由な雰囲気が気に入って通うことにしました。今でこそ、アートの事業所は増えて来ましたが、通いはじめのころは珍しかったので、説明しても誰もわからなかったですね。
(DAIKIがアート・インクルージョンの人たちにしきりとせがんでいた)「一本橋」は、幼稚園のはじめてのお泊まりのとき、緊張で眠れなかったDAIKIに先生がおまじないとしてしてくれた「一本橋」のおまじないから来ています。その後も小学校では学芸会などで緊張すると、みんながおまじないだよと安心させてくれて、不安なときに心を開いた人への表現手段が「一本橋」なんです。 |
受賞歴・おもな展覧会出展歴2009年
・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト(初出展) 銀賞 2011年 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 銀賞 ・障害者による書道・写真全国コンテスト 銅賞 ・第14回ピュア・ハーツアート展(初出展) 河北新報社賞 ・第1回アートの元素(公募展) 宮城県美術館13点出展 2012年 ・国立大学法人宮城教育大学第1回学長賞(大学に書2点寄贈) ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 銀賞 ・障害者による書道・写真全国コンテスト 銀賞 ・第15回ピュア・ハーツアート展 銀賞 ・第2回アートの元素(公募展) せんだいメディアテーク出展 2013年 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 銀賞 ・第16回ピュア・ハーツアート展 銀賞 ・東京海上日動発行「Club Nextage」表紙に掲載 2014年 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 金賞 ・障害者による書道・写真全国コンテスト 金賞 ・第16回ピュア・ハーツアート展 宮城県共同募金会長賞 2015年 ・第1回Art to You東北障がい者芸術公募展 入選 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 金賞 ・障害者による書道・写真全国コンテストは各部門において3回以上入選のため震災の対象外となる ・アート・インクルージョンとアーティスト展(Com. Cafe 音倉、東京) 出展 2016年 ・第2回Art to You東北障がい者芸術公募展 2作品入選 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 銅賞 ・第19回ピュア・ハーツアート展 宮城県共同募金会長賞 ・日本と韓国美術交流「ダムギ展」出展、韓国に招待される ・アート・インクルージョン展(Jギャラリー&カフェ、東京) 出展 2017年 ・第3回Art to You東北障がい者芸術公募展 入選 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 金賞 ・第20回ピュア・ハーツアート展 銅賞 2018年 ・第4回Art to You東北障がい者芸術公募展 企業賞と入選 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 金賞 ・第22回ピュア・ハーツアート展より過去3回以上受賞者は優秀作家として無審査になる(〜2021年出展) ・アートツリーやまがた2018(ギャラリー・カフェあるあーる、寒河江市) 出展 ・アチェ=ジャパン・コミュニティアート・プロジェクト(インドネシア) 出展 2019年 ・第5回Art to You東北障がい者芸術公募展 入選 ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 金賞 2020年 ・第6回Art to You東北障がい者芸術公募展 企業賞、受賞作が藤崎のカレンダーに採用される ・仙台市障害者による書道・写真・絵画コンテスト 金賞 ・アーティストとアート・インクルージョン展(スペース・ゼロ、東京) 出展 2021年 ・アート・インクルージョン展(せんだいメディアテーク、仙台) 出展 |
主催:一般社団法人アート・インクルージョン
助成:公益財団法人仙台市市民文化事業団「多様なメディアを活用した文化芸術創造支援事業」
(c)2021 Art Inclusion all right reserved
助成:公益財団法人仙台市市民文化事業団「多様なメディアを活用した文化芸術創造支援事業」
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